There don't seem to be any answers
ゆっくりと後を振り返り部屋の中を見た。俺の記憶に残っている何時もの部屋が、そのまま俺の眼に写し出される。部屋の中の何かが動いた気配は無いし、この部屋の狭さからだと、誰かが俺の部屋に忍び込んで隠れる。そんな事は出来ない筈だ。目に止まるのは奥の部屋の、ベッドの前の床に置いてある焼酎ぐらいだ。
今度はその焼酎が気になった。俺にとっては大事な物で今晩もお世話になるはずだ。冷蔵庫に丁寧にしまった。そのまま外に出ると今日の天気はすがすがしく感じられた。昨夜の雨が嘘のように晴れていて、太陽が顔を見せている。梅雨の合間の青空が、真夏の蒸 し暑さを予感させる。
梅雨が明けるのも、もうじきだ。すぐに俺の季節が来る。いや違う、俺の出番が来る。夏は人の心を軽くする、つまり恋心。誰でもが恋を期待する。たとえ妻がいようとも、子供がいようとも、男はスケベだから無意識に恋の相手を探して しまう。そして、偶然その相手が見つかるとそのまま浮気、つまり不倫に走ってしまう。
もっとも、女性が不倫に走る事も無い訳ではない。ただ俺から見れば、誰が誰に恋をしようと関係ない。多くの人が不倫を楽しんでくれたらそれで良い。それからが俺の出番だ。俺のもっとも得意な仕事は浮気調査…本当の事を言うと探偵の仕事に続く。
パジャマはそこに有る
category
From author
For Your